序章本書の課題11序章本書の課題本書の課題は、中国における自動車流通の歴史と現状を明らかにすることにある
最初に本書の結論の概要を述べよう
1978年の改革開放政策以後、計画経済から社会主義市場経済への移行が進展し、そうした中で自動車流通においても激しい変化が生じた
市場経済国との比較を念頭におくと、1990年代にはきわめて複雑な錯綜した自動車流通経路が中国において出現していた(1)
だが、本書で明らかになったのは、WTO加盟を契機として2001年頃から自動車市場は爆発的に拡大し、その拡大過程で自動車流通システムに根本的変化が生じた事実である
その結果として、1990年代後半に成立していた過渡的な「システム均衡」は崩壊し、2000年以降に新たな自動車流通システムが中国において出現した
具体的に述べると、(1)小売卸売併合店の小売専門店への転換、(2)単一メーカー車種専売店、(3)メーカー主導のテリトリー制、(4)機能として(1)~(3)を有する4S店の全国的ネットワーク、(5)小売卸売併合・複数メーカー車種併売・非テリトリー制の零細店舗を集積させた汽車交易市場から、大規模4S店舗を集積させた米国型オートモールの登場、(6)中古車取引における擬態的個人間取引から、業者を中間に入れた形での買取と小売への分離、(7)中古車販売における小売卸売併合の分離と小売専門店の登場、(8)オークション機能の生成、等の要素転換が複合した新たな自動車流通システムが登場している
この新システムは中国固有の側面を持つものの、市場経済国のシステムとの共通点も大きくなっている
中国の自動車流通においては、計画経済から市場経済への移行期は終焉し、本格的な市場経済期に入り、そのもとで自動車流通システムが一つ高い次元での新たな「均衡」へと全面的に転換を図ろうとしているのである
12序章本書の課題以下、移行期か